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長谷川 閑史 - 代表取締役社長
本日は大変ご多忙の中、また少し遅い時間ではありますけれど、当社の2010年度第2四半期決算説明会に多数のご出席を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
当社では将来の持続的成長を確かなものとするために、2010-2012年の中期計画を過去の成功体験と決別し、新たな武田へ成長する変革期と位置づけ、各戦略を遂行中であります。
その初年度となる2010年度計画につきましては、半年が経過いたしましたところではありますが、売り上げ、利益ともほぼ計画どおりに推移をしております。なお、詳しい決算内容につきましては、後ほど経理部長の高原のほうからご説明を申し上げます。
2011年度以降の業績見通しにつきましては、米国における「アクトス」後発品の導入時期を、参入時期を2012年8月以降としていることに変更はなく、当社では2013年度を業績の底と想定いたしております。
しかしながら、経営者といたしまして、現時点の見通しに決して満足しているつもりは毛頭ございません。2013年度の落ち込みを最小限に抑えるとともに、2015年度の業績を少なくとも2010年度レベルに回復させ、その後も2020年度に向けて10%程度の持続的成長をしていくという中長期構想の実現はもちろんのこと、その達成を少しでも早めるべく全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
当社では何よりも研究開発型の製薬企業としての生き残りをかけて、研究開発、生産性向上に取り組んでおります。
まず、2月に竣工を予定しております湘南新研究所の設立を機会に、医薬研究本部の研究マネジメントを大きく改革いたします。薬理合成といった従来の機能別管理を中心とする体制から、領域別管理を横軸に加えたマトリクス管理体制に変更するとともに、TARSTとわれわれが呼んでおりますTherapeutic Area Research Strategic Teamの略でありますけれど、この機能を強化し、研究戦略の立案と実行をリードできるよう、予算を含めた意思決定権を各TARSTリーダーに大きく権限委譲をいたします。
TARSTは、1つのTARSTの構成人員はだいたい100名から150名ぐらいでございますので、極めて小回りの利く迅速な意思決定もできる、そういうユニットとして運営をすることにいたしております。
すでにご存じのように、当社ではこの10月1日にメガファーマの研究マネジメントの実績を持つドクター・ポール・チャップマンを医薬研究本部長に登用いたしました。新しいリーダーシップの、このドクター・ポール・チャップマンの新しいリーダーシップの下で、外部の研究者の採用を積極的に進め、異なる研究アプローチ、マネジメントスタイルやマインドセットなどの優れたところを日本人研究者が学びとり、武田オリジナルの強みと組み合わせることによりまして、相乗効果を創出していきたいと考えております。
これに加えて、湘南新研究所では最先端の設備と東京から1時間程度の地の利を生かして、日本人のみならず世界の優秀な研究者を招聘し、多様性の中からより優れた創造性が生まれる環境を創造するとともに、異なる組織、領域、専門分野で研究者が自由闊達に議論できる場を提供することで、研究者が過去の方法にとらわれず斬新な研究アプローチを思い切って挑戦できるという、設備面での環境も合わせて整備をいたします。
さらには本日15時にリリースいたしましたTVI、Takeda Ventures, Inc.を活用し、研究開発課題の進捗に寄与する新規技術や、将来武田にパラダイムシフトを起こし得る革新的技術に積極的に投資を行い、外部との研究提携を今まで以上に促進をしてまいります。
販売面では、当社のプレゼンスが弱い地域におけるインフラ強化に取り組んでおります。この2~3年でスピーディに進出を成し遂げた新規進出国における各販売会社が早期に業績に貢献するよう、新薬投入のスケジュールを加速いたしております。その実現をより確かなものにするために、7月1日付で入社をいたしました平手コーポレートオフィサーを8月1日付でアジアの海外オペレーションの責任者に就任をさせました。
また、10月1日付で大手企業のバイエルの経営の経験もあり、ドクター・フランク・モリッヒを新しいIO、International Operationの責任者、アメリカとヨーロッパでありますけれど、その責任者に就任させ、この2人のリーダーシップによって、ただいま申し上げたことを迅速に実行に移していくという考えであります。
中国におきましては、今月天津武田を完全子会社化することにいたしました。今後は当社の中長期戦略に基づいた思い切った投資を行うことにより、これまで遅れておりました中国におけるマーケティング体制の強化や製品ラインナップの充実を加速化し、早期の事業再構築を実現してまいります。
また、インドにつきましては、販売基盤の確立だけではなく、研究開発、製造などあらゆるバリューチェーンにおいてインドのローコストオペレーションの強みを最大限に活用していく予定でありまして、そのための会社設立の準備をただいま急いでいるところでありまして、予定では来年1月には新しい会社、小規模ではありますが、ムンバイに設立をする計画でございます。
中国、インド両国を含むアジアのポテンシャルを当社の成長に最大限生かすべく、先ほど申しましたような形での新しい責任者を就任をさせたところであります。
なお、当社ではこれらの施策に留まらず、豊富な手元資金を活用して、企業買収や製品パイプラインの充実に向けた活動を一段と強化するため、このたびグローバルビジネスデベロップメント機能をシカゴに新設をいたしました。新設いたしましたグローバルBDの責任者は、私に直接レポートするということでありますが、現在はこのBDの責任者はこれまでミレニアム社のBDの責任者をしておりましたアナ・プロトパパス氏が就任をいたしております。
新しくヨーロッパとアメリカのIOに就任しましたドクター・フランク・モリッヒと密接な協力を築くことにより、またアナ・プロトパパスがすべての日本およびヨーロッパ、それからアジアにも若干の人数がおりますが、グローバルのBDの人間をすべて一括してレポート・トゥ・アナということで管理をすることによって、よりスピーディな意思決定と実行を実現してまいりたいと考えております。
以上申し述べましたような業績回復への諸施策に加え、当社では現在、社会的ニーズが高まる新型インフルエンザワクチン製造、あるいは子宮がんワクチンの研究開発に向けた取り組みを推進しております。製薬企業としての社会的使命をこういったことを通じて果たしてまいりたい、と考えております。
皆様には当社に対する温かいご支援を引き続き賜りたく、厚く改めてお願いを申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
司会
はい。それでは次に経理部長の高原より、2010年度第2四半期の連結業績の概要、2010年度連結業績の見通しについて説明させていただきます。
高原 宏 - コーポレートオフィサー 経理部長
経理部長の高原でございます。ただいまより、この第2四半期の連結業績の概要についてご説明いたします。
2010年度第2四半期累計の連結業績の概要につきましては、ご覧のようになっております。
売上高につきましては、米国での「アクトス」、「ベルケイド」や、昨年新発売した「デクスラント」、「ユーロリック」の伸長に加え、国内で「ベクティビックス」、「ネシーナ」、「ユニシア」などの新製品を発売したことによる増収効果がありました。
しかし、米国で特許期間が満了した「プレバシド」が大幅な減収となったことや、為替の円高によるマイナス影響があり、売上高は前期から414億円、5.5%減収の7,140億となりました。
利益面では一般管理販売費および研究開発費が円高影響などで減少したものの、減収に伴う売上総利益の減益を吸収できず、営業利益は前期から209億円、8.6%減益の2,216億円となりました。
営業利益の減益に加え、円高などの要因で営業外損益も若干悪化いたしましたので、経常利益も前期から294億円、11.5%減益の2,255億円となりました。
経常利益の減益に加え、前期はアイルランドでの製造子会社2社の再編に伴う一時的な税金の減少がありましたので、当期は前期比で税金が増加し、純利益は前期から454億円、24%減益の1,442億円となりました。
特別損益、特殊要因除きのEPSにつきましては、前期より65円29銭減少し、213円50銭となっております。次のスライドをご覧ください。
先ほど申し上げました為替の影響でございますけども、ご覧のとおり、売上高で291億円、営業利益で102億円、純利益で71億円と各々で対前年同期比でマイナス影響となっております。次のスライドをご覧ください。
セグメント別の売上高の増減内訳をご説明いたします。医療用医薬品事業のうち国内での売り上げは、「エンブレル」の増収や「ベクティビックス」などの新製品の寄与により、ご覧のとおり対前期で75億円、2.7%の増収となりました。
一方、海外での売上高は先ほど申し上げましたとおり、「アクトス」、「ベルケイド」や昨年新発売いたしました「デクスラント」、「ユーロリック」の伸長はあったものの、「ランソプラゾール」の米国特許満了による減収の影響や円高影響を吸収できず、対前期で501億円、12.4%の減収となりました。
ヘルスケア事業の売上高は「ベンザ」などが減少し、対前期で11億円、3.5%の減収となりました。
その他事業の売り上げは和光純薬を中心に対前期で22億円、4.9%の増収となっております。次のスライドをご覧ください。
次に、医療用医薬品の売上高の推移を地域別に見たスライドになっております。当社グループ全体では前期から427億円、6.3%の減収となりました。為替の円高要因を除きますと、138億円、2.0%の減収です。
地域別の増減はご覧のとおりです。米州、欧州は減収。アジアは横ばいですが、欧州は為替影響を除きますと増収となっております。次のスライドをご覧ください。
当社の主力製品の売上高の状況について、ご説明いたします。「ピオグリタゾン」は16億円、「ベルケイド」は27億円の増収となりましたが、「ランソプラゾール」で557億円の大幅減収となり、「カンデサルタン」、「リュープロレリン」も減収となっておりますが、為替影響を除きますと「カンデサルタン」は増収であります。次のスライドをご覧ください。
営業利益の増減内訳はご覧のとおりです。売上総利益は売上高の減収と利益率の2.5ポイント低下により516億円、8.4%の減益となりました。利益率低下の要因は、利益率の高い「プレバシド」の大幅減収や為替の円高によるマイナス影響によるものであります。
一般管理販売費は、TPNA社をはじめグループ全体で経費削減に努めたこと、無形固定資産償却費などが前期より94億円減少したこと、これに為替の円高による影響も加わりまして、全体で193億円減少いたしました。
研究開発費は開発費の減少などを中心に114億円減少いたしました。
この結果、営業利益は前期から209億円、8.6%の減益となっております。次のスライドをご覧ください。
次に純利益の増減内容でございますが、営業利益での209億円の減益に加え、営業外損益が85億円悪化したことや、税金などが160億円増加したことなどにより、純利益は454億円、24%減少の1,442億円となりました。
税金でございますが、先ほど申し上げましたように、前期はアイルランドの子会社再編に伴う税金の減少により、実効税率は25.1%と低くなっておりましたが、当期はこのような要因がないことから、実効税率は35.4%となっております。次のスライドをご覧ください。
次はキャッシュフローの状況についてのご説明です。当期のキャッシュフローは469億円のマイナスとなりました。主なものは、法人税の支払い656億、新研究所の建設などに伴う固定資産の取得による支出851億円および配当の支払い710億円でございまして、円高に伴う換算差額も603億のマイナスとなっております。次のスライドをご覧ください。
ここからは2010年度の業績予想についてご説明いたします。まず、5月に公表いたしました上期の当初予想と実績との比較をしております。
当初の予想は為替をドルで90円、ユーロ130円と想定して、売上高を6,900億と申し上げました。これに対し、実績はドルで89円、ユーロが114円となりましたので、当初に比べますと為替影響が約100億ございましたが、米国での「アクトス」「ベルケイド」などが想定以上に伸長していることに加え、医薬国内も好調に推移いたしましたので、これを吸収し、240億当初予想比で増収となっております。
なお、第1四半期決算の公表時にはユーロを110円に想定し直したと申し上げましたけども、この時点でも増収分が予想される品目もございまして、全体では当初予想どおりというご説明をしております。
経費につきましては、主に導入費の発生が下期にずれ込んだことにより研究開発費が減少し、また管理販売費も減少しております。その結果、営業利益の段階で当初予想より416億円の増加となりました。
営業利益の増加に従い、経常利益、純利益も同様に増加しております。
次に、上期実績を踏まえた年間業績についてご説明いたします。
まず売上高ですが、為替レートについては下期のドル・円レートを90円から80円に修正いたしましたので、当初の想定からは年間で450億円の売り上げでのマイナス影響がございますが、先ほども申し上げましたように、当初の想定以上に堅調に推移している品目もあり、年間ベースでも為替の影響を吸収できるものと見ております。したがって、通期の業績予想1兆4,000億円は変更いたしません。
一方、研究開発費については円高・ドル安の為替影響のみを考慮いたしまして、当初予想より100億円程度減少の3,000億円になると見ております。下期において、成長戦略に沿った導入関係費用の発生と新研究所にかかる費用も織り込んでおります。
販売管理費につきましても、為替の円高影響やコスト削減などにより、当初に比べ100億程度の減少を織り込んでおります。
この結果、営業利益につきましては年間ベースで200億円、当初予想より上方修正いたしました。
営業利益の増加に伴い、経常利益でも200億円、純利益では100億円、合わせて上方修正しております。
なお、当初に比べて売上高で為替影響が455億マイナスっていうのは表に書いてございますけども、参考までに、営業利益では当初に比べると140億のマイナス、純利益では85億のマイナスとなっております。
最後に配当についてご説明させていただきます。当期の中間配当金は1株当たり90円とさせていただいております。期末配当につきましても90円を予定しており、ともに当初予想からは変更はございません。
以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
司会
経理部長高原からの説明でございました。続きまして、研究開発統括職の大川より、2010年度第2四半期研究開発におけるトピックスについて説明させていただきます。
大川 滋紀 - 取締役 研究開発統括職
研究開発統括職の大川でございます。ただいまより、2010年度第1四半期公表以降の研究開発におけますトピックスについて、ご紹介をいたします。
まず初めに、2010年度第1四半期公表後のパイプラインの進捗状況について、ご紹介をいたします。
10月に高血圧症治療薬「TAK-491」につきまして、米国に引き続き欧州で承認申請を行いました。2型糖尿病治療薬「ネシーナ」錠につきましては8月、厚生労働省より、チアゾリジン系薬剤との併用効能追加の承認を取得いたしました。
また、消化性潰瘍治療薬「タケプロン」につきましては8月、厚生労働省より非ステロイド性抗炎症薬投与時におけます胃潰瘍、または十二指腸潰瘍の再発抑制の効能追加承認を取得いたしました。本効能は、7月に承認を取得いたしました低用量アスピリン投与時におけます胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制と同様に、国内では「タケプロン」のみの効能になります。
また、2009年に設立いたしました武田カナダにおきまして、7月に逆流性食道炎治療剤「デクスラント」、9月に高尿酸血症治療剤「ユーロリック」の承認を取得いたしました。
最後に新規化合物であります「TAK-960」のフェーズⅠ試験を、本年9月に開始をいたしました。本薬は細胞分裂に関与いたしますPLK1、Polo-like kinase1を選択的に阻害する薬剤であり、前臨床試験では経口投与でさまざまながん細胞移植モデルにおきまして、優れた細胞増殖抑制活性を有することを確認しております。
なお、先日「TAK-442」のフェーズⅡ試験の速報結果について公表いたしました。本薬はファクターⅩa因子を選択的に阻害し、抗凝固作用を有する薬剤でございます。急性冠症候群、ACSを発症した患者さんに標準治療、これはアスピリンもしくは複数の抗血小板薬によります治療でございますが、この標準治療に加えまして、プラセボもしくは「TAK-442」を投与いたしました。
安全性につきましては、大出血の発生率におきまして、「TAK-442」の低用量群で低く、高用量群におきましてはプラセボ投与群と比較して、総じて高い傾向が認められました。
また、有効性につきましては、主要評価項目であります心血管死や心筋梗塞などのイベント発症率におきまして、プラセボ投与群との間に差は認められませんでした。現在、結果の詳細につきましては解析中であり、当社ではできるだけ早く今後の開発に関する方向性について決定をしてまいりたいと考えております。
それでは、続きまして当社研究開発のトピックスについて、ご紹介をいたします。
当社では10-12中期計画におけます新たな重点疾患領域といたしまして、肥満症・糖尿病・動脈効果を中心といたしました生活習慣病領域、そしていまだ根本的な治療薬がないがん、中枢神経疾患領域に経営資源を集中投下し、アンメットニーズを満たす新薬の開発を目指して取り組んでまいります。
本日は肥満症およびがん領域におけるパイプラインの進捗、そして中枢神経疾患領域におけますす画期的新薬の創出につながる新たな共同研究について、ご紹介をいたします。
まず初めに、肥満症領域のパイプラインについてご紹介いたします。今年9月にOrexigen社がFDAに申請中の肥満症治療薬「Contrave」につきまして、北米におきます独占的開発販売契約を締結いたしました。
「Contrave」は中枢神経系に作用する2つの異なる薬剤を配合しており、食事摂取とエネルギー代謝のバランスを整えることで体重減少を促します。当社は本薬が肥満症治療薬に関する当局の基準を満たす薬剤であると考えており、今年12月に予定されておりますFDAのアドバイザリーミーティングに参加するOrexigen社と緊密なコミュニケーションを進めてまいります。
この中枢神経系に作用する経口剤であります「Contrave」と、昨年11月にAmylin社から導入いたしました神経ホルモンとして作用します注射剤「Pramlintide/Metreleptin」の両剤を、年間7,500万人の肥満症が発症するといわれる米国を中心に開発していくとともに、国内におきましてはリパーゼ阻害薬「ATL-962」の開発を進め、当社肥満症領域でのフランチャイズを構築してまいります。
続きまして、がん領域のパイプラインについてご紹介をいたします。
まずは当社創製の経口前立腺がん治療薬「TAK-700」であります。転移性去勢抵抗性前立腺がんおよび化学療法を未実施の転移性去勢抵抗性前立がんをを対象に、プラセボと比較いたしますフェーズⅢ試験開始を予定しており、また化学療法を未実施の転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象といたしました試験で、患者さんへの投与が始まったとの報告を受けております。
順調に症例登録が進めば、両試験とも2013年に試験を終了できる予定でございます。
本薬はPSA上昇や、転移の原因であります生成以外の男性ホルモンに高い阻害活性を示すことから、治療が困難な去勢抵抗性の前立腺がんに対する有望な治療薬であり、当社では「TAK-700」が非ステロイド骨格を有します17,20-リアーゼ阻害薬といたしまして、ファーストインクラスまたはベストインクラスの薬剤になると期待をいたしております。
続きまして、昨年12月にシアトルジェネティクス社から導入いたしました「SGN-35」に関する日本のフェーズⅡ試験の速報結果について、ご紹介をいたします。
1つは再発・難治性のホジキンリンパ腫、そしてもう1つは再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫を対象といたしました単独投与試験であります。ブレンタキシマブ・ペドチン、この有効性、安全性を検討した試験でございます。
両方試験のプライマリーエンドポイントであります奏功率におきまして、独立評価調査機関におけます評価で、それぞれ75%、86%という良好な結果が得られました。本試験の詳細につきましては、本年12月にフロリダで開催されますASH、米国血液学会のオーラルセッションで発表をする予定でございます。
ブレンタキシマブ・ペドチンはCD30抗原を標的とする抗体薬物複合体でございまして、CD30抗原を発現するがん細胞に強力な薬剤「アウリスタチン」を選択的に運ぶことで、従来の化学療法に見られる副作用を軽減し、標的細胞のみ医薬作用させることを可能にした薬剤でございます。
2011年中の欧州での販売許可申請に向けて、試験結果の詳細分析とEMAとの協議を続けてまいります。
続きまして、CNS領域におけます共同研究についてご紹介をいたします。
10月8日、新しい統合失調症治療薬の創製を目的といたしまして、Envoy Therapeutics社と共同研究契約を締結いたしました。本日のプレスリリースで公表いたしましたTakeda Ventures, Inc.の前身であります武田研究投資会社は、Envoy社の保有する革新的なbac TRAP技術に着目いたしまして、設立当初から投資してまいりました。
このbac TRAP技術は最新の遺伝子工学と分子生物学を組み合わせた技術で、多種多様な細胞型が混在いたします中枢神経系におきまして、疾患に関連する特定の細胞型で発現する遺伝子を細胞から分離することなく可視化することができます。そして、その遺伝子たんぱく質を解析することで、新たな創薬ターゲットを生み出すことを可能にいたします。
いまだ疾患メカニズムが明確でない統合失調症につきまして、外部との共同研究を通じて原因究明と創薬ターゲット探索を強化し、アンメットニーズの高い本疾患の根本治療につながる新薬創出に向けて取り組んでまいります。
最後に、社会的要請が高まりますワクチン分野における話題について、ご紹介をいたします。
10月12日に、ヒューマンヘルスケア振興財団と神田HPVワクチンの特許権に関する独占的使用許諾契約を締結いたしました。神田HPVワクチンは元国立感染症研究所の神田先生が発明された革新的ワクチンで、子宮頸がんの高リスク型HPVとして知られている15種類のHPVすべてに有効なワクチンとなることが期待されています。現在までに、子宮頸がん患者から高い頻度で検出される16型と18型を含む6種類の高リスク型HPVへの有効性を確認しております。
全世界で年間27万人が子宮頸がんで死亡しており、発症原因の99%以上はHPV感染といわれております。既存のHPVワクチンでは高リスク型HPVのすべてをカバーすることはできませんので、15種類すべてをカバーする可能性がある神田HPVワクチンの研究に全力で取り組み、アンメットニーズを満たすワクチンの製品化につなげてまいります。
私のほうからは以上でございます。どうもありがとうございました。
司会
それでは、ただいまより質疑応答に移ります。会場の皆様ならびに英語電話会議の皆様より質問をお受けいたします。ご質問のあられます方は会社名ならびにお名前を頂戴できればと思います。
それでは、まず会場の方でご質問のある方は挙手をお願いします。どうぞ。
山口 秀丸 - アナリスト
シティグループの山口と申します。2つおうかがいしたいんですけども、まず冒頭にございました中計なんですけど、10-12というのは嵐の前の静けさなので、その後の「アクトス」の次の年がボトムになるというふうにおっしゃいましたが、これから半年たつと来期になっちゃうわけですけども、この11-13といいますか、そのボトムをわりと正確に作って外に出して、それを問うというようなことは、これからの半年間されるんですか。それともそれはそれで置いておいてこう走るんでしょうか。そこをちょっとおうかがいします。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
それともう1つあるんですか。
山口 秀丸 - アナリスト
それまた後で、はい、どうぞ。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
中期計画につきましては、今回の中期計画から3カ年に期間を縮小いたしましたと同時に、ローリングという形で毎年、毎回3年ごとの中期計画としてやっていくことにしておりますので、来年度の計画の段階では、当然それは向こう3年間ということで発表させていただくことになると考えております。
と同時に、先ほどの私の話でも申し上げましたように、13年がボトムになることは今の状況で、現状の延長線上であれば間違いないわけでありますけれど、そうならないような手をできるだけ早急に打ちたいというふうに模索をしてるところであります。
山口 秀丸 - アナリスト
あともう1つだけ、国内の売り上げの自社品のところの売り上げの伸び率が1.7%ですか。ちょっと想定してたより低い感じがするんですけども。「タケプロン」なんか売り上げがこう下がってまして、新薬があるっていうのはわかるんですけど、その辺のその国内の営業力っていうのがちょっとこう見てると違うような印象があるんですが、その辺はどうとらえて、どのような対策をお立てなのか。そこを教えてください。
山中 康彦 - 取締役 医薬営業本部長
営業本部の山中でございますけれども、国内の特に自社のいま伸長率が低いんではないかという点でございますが、ご承知のとおり、4月に行われました薬価改定におきまして、当社の引き下げ率は市場の平均を大きく上回っておりまして、特に自社においては平均、長期収載、いわゆる追加引き下げを含めて、いわゆる市場の平均は6.5っていうふうに確かだいたい認識されておると思うんですが、それを1.2~1.3上回る引き下げをトータルで受けておりますので、やはりその部分が量ベースでは市場を上回っておっても、価格、当然売上金額といいますのは量×価格でございますんで、価格のやはりその薬価引き下げが大きかった部分だけがしんどかったということでございます。
特に「タケプロン」なんかも下がっておるという今ご指摘ですけれど、やはり「タケプロン」につきましても長期追加引き下げという影響も受けておりますし、やはり先ほど大川のほうからご説明させていただきました効能追加が出るまでは、取得できるまでは後発品の影響もかなり大きく受けております。4月以降、やはりご承知のとおり調剤体制加算の数量ベース化ということで影響を受けておりました。
ですから、やはり大きくマイナスになったんですが、下期につきましては、その効能追加における2つの効能追加、これは当社だけが持っておる効能でございますし、患者さんにとっても福音をもたらす効能ということで、おそらく間違いなく年間としては「タケプロン」もプラスに、3%ぐらいは年間としては戻せるっていうふうに考えております。はい。
司会
ご質問ありがとうございました。1回に受けますご質問、2つまでで、重ねてご質問いただいても結構でございますんで、よろしくお願いいたします。ああ、どうぞ。
舛添 憲司 - アナリスト
ドイツ証券、舛添です。2問ですから、じゃあ「ヘマタイド」のところなんですけども、確か10月の頭ぐらいのとこに、もしアフィマックスが申請したらジョンソン・エンド・ジョンソンのほうから特許権のところで訴訟を起こすとかいう話が出たかと思うんですけども、これはどういうふうに考えればよろしいんですか。
岩崎 真人 - コーポレートオフィサー 製品戦略部長
私のほうからお答えしますが、特許に関することなので、ちょっといま私どものほうから発言するのはちょっと不適当かと考えております。申し訳ないんです。
舛添 憲司 - アナリスト
高原さん、あと1つ、数字のとこ教えてもらいたいんですけども、上期のところも販管費のとこ、経費削減とかあって、非常に対計画では上に数字出たわけですよね。下期を見た場合に、為替も高原さんの説明ではコスト削減為替もあるんで、円高のほうもあるんで、100億ぐらい販管費のほうが減って、こう上方修正になったような説明があったかと思うんです。もっと出そうな感じがするんですけども、上期との比較で見ると。
この辺のちょっと入り繰りっていうか、為替でだいたい、例えば為替半分の経費削減半分ぐらいで見ているのか。もう少しこの辺細かく説明していただけませんか。
高原 宏 - コーポレートオフィサー 経理部長
上期の経費が下がった要因っていうのは、確か対前年で比べて為替で55億ぐらいだったと思います。それ以外に、1つはTPNAのほうでこれリストラコスト出たんですけども、この額自体はちょっと申し上げられませんけども、現地通貨ベースで管理販売費が30ミリオン減少しております。リストラ効果、費用を含めて吸収して30ミリオン減少しております。円ベースでは確か77億ぐらい減少していたと思います。
それ以外に無形資産の償却費が減ったっていうのは申し上げましたけども、これはTAPの会社分割を2008年にやりましたけども、その時に「プレバシド」の無形資産を計上したんですけども、これの償却額のうち特許権に関する部分っていうのが去年の11月でもう償却終わってますんで、その関係で94億ほど前年上期と今年上期で比べると減ってると。そういう要因です。
それから上と下との関係、ご質問があったんだと思いますけども、下期は上期との比較で特徴的な点は、研究開発費が500億ぐらい増える形になってます。
この要因は、大きな要因は2つありまして、1つは研究所が下期に稼働するに伴って、一時的な償却費用が170億ぐらい入ってます。それともう1つがライセンス関係の導入費用ですね。これが上期はこれ発生しなかったんですけども、下期のほうで150億ぐらい入ってると。これが上に比べて下が500億ほど研究開発費が多い、主な要因です。これぐらいでよろしいでしょうか。
舛添 憲司 - アナリスト
販管費の下っていうのは。
高原 宏 - コーポレートオフィサー 経理部長
はい。販管費の下は、販管費の下期は、ええ、申し上げます。対上期に比べると147億ほど増えます。増える理由は、先ほど山中のほうからも話しありましたけども、下期でまだ新製品も予定しておりますし、そういう販売関係の費用が上期に比べると増えるという話と、それから研究開発費同様、そうはいいましても出るタイミングが上期から下期に移った費用もありまして、その関係で147億、正確にいうとだいたい150億程度下期も販管費が上期に比べて多いということであります。
舛添 憲司 - アナリスト
はい、どうもありがとうございます。
司会
ご質問ありがとうございました。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
ちょっと先ほどの「ヘマタイド」の特許の件ですけれど、これ舛添さんのほうからご質問があったのは、仮定の話でありますのでね。それにお答えすることは難しいという意味でありますが、一方で社内では最悪のケースに備えて万全の準備をするということは当然のことでありますので、万一そのようなことが起きたらどういうふうにするかということについては、もう十分に検討は進めております。
司会
それじゃあ、会場からいただきますが、ああ、どうぞ。
春原 - メディア
日経新聞の(春原)と申します。アメリカの「アクトス」は非常に現地通貨ベースで伸びてますけど、これ値上げ云々のほかに好調の要因、もう少し詳しくお聞かせいただきたいのが1点。
それと2点目は、開発中止品目に「ブロプレス」と「アクトス」でしたかが入っているかと思うんですが、この理由のところで、承認案件が変更になったとあります。これもう少しお聞かせいただきたいのと、今後変更になったのに合わせてどういう方針変更っていうか、対策をとられるのかというところを教えていただければと思います。
井上 益光 - コーポレートオフィサー 事業戦略部長
まず、「アクトス」につきましては私からお答えいたします。ご指摘のように値上げもいたしましたけれども、これもう本当にマチュアードプロダクトになってまいりましたので、1処方箋枚数当たりの錠数が増えてきております。これメールオーダーも増えておりますし、それから(ウォルブリン)なんかも90日処方というのを推進しているということで、量ベースで、処方箋がフラットであっても増えているという現象もあります。
それから上期が非常に好調であり、そして年間ではどうなるのかという点でございますけれども、当初前期から見まして、「アクトス」は約3%弱ぐらいの伸びであろうというふうに申し上げて、第1四半期が終わりました時にはもう少し行くかなと申し上げましたが、これはやはり通期で見て5%を超える成長を期待できるなというふうに、正直思っております。
ただ、上期の伸びはもっと大きいんですけれども、これは上期末が少しその期末日、9月30日が出荷日に当たったこともありまして、少し卸の在庫が増えております。ですので、その分を割り引いて考えて、それでもご指摘のように「アクトス」は堅調に期待以上に推移していると。こうご理解いただけたらと思います。
それから「アバンディア」の影響も、もちろん少し見込んでおります。
企業側発言者不明
じゃあ、岩崎部長のほうから。
岩崎 真人 - コーポレートオフィサー 製品戦略部長
「アクトス」と「ブロプレス」の合剤の件ですけれども、ご存じのように血圧および血糖のコントロールにおいては非常にいいデータが出ております。それから、安全性についても特に問題のないデータがあったんですが、当局の方針が変更になって、申請要件の中に、申請要件として新たな治験を実施する必要が出てきたということがあります。いろんなその条件を考えまして、現在この開発は中止というふうに本社内で決めております。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
1つだけ補足をしておきますけど、「アクトス」の件で最後に井上がチラッと申し上げましたけど、ホールセーラーがインベントリーレベルを通常よりも積み上げておりますので、そのことも影響しております。
司会
ご質問ありがとうございました。続きまして、そちらの女性の方、さっき上がりました。
セイ - メディア
NHKの(セイ)です。長谷川社長に円高に関してご質問です。
かなり今回の決算でも円高の影響が出てますけれども、現時点で対策としてとられていること、また対策としてとり得ることはあるのでしょうかということが1点です。
また、今の円高、長期化するという見方もありますけれども、その見通し、通期の見通しの売上高は据え置いていらっしゃいますが、足元80円程度の円高が続いた場合、どのような影響があるのか。また、長谷川社長のお考えとして、1ドル当たりいくら程度が適当だと思われるか、教えてください。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
最後の質問はお答えしにくいですね。為替、それから株は相場に聞けということで、われわれビジネスに携わる人間は、結果として現れた為替の交換レートに基づいて商売をするということであって、私がここでどのぐらいが望ましいということは適切でないと思うので、ちょっと控えさせていただきたいと思います。
当社が為替に対してどういうヘッジをしているかということでありますけれど、基本的には売り上げについてはヘッジのしようがないわけでありまして、現地で売り上げ上がったものをその時その時の交換レートで円に換算をするわけでありますから、円高が続けばその分はもろに当社の売り上げ、利益に影響するということになりますが、一方で多少経費の分では、先ほど高原が申しましたように、開発作業のかなりのほとんどの部分ですね。大半を海外でやっておりまして、それを円高で経費換算をする時には、経費がこれはまた落ちるというか、少なくなるという、そういう影響がありますが、総じていえばトップラインでの影響が当然大きくなるわけでありますので、その分何か高原が言ってたのを思い出しますと、対ドルで1円変わるとなんぼだった? 58億円と25億円と15億円ぐらい?
高原 宏 - コーポレートオフィサー 経理部長
1円変わると売上高で57億、営業利益で15億、それから純利益で8億、当社の場合は影響があると。それは先ほどのスライドに入ってますので、先ほどの。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
ということで、具体的な対策はなかなかとるのは難しいということです。
司会
はい、ご質問ありがとうございました。他の会場、他のチャネルからもご質問がございましたら頂戴いたします。どうぞ、前のほうで、その方。
小野塚 昌之 - アナリスト
はい。JPモルガン証券、小野塚です。2点お願いします。
まず1点目が人件費に関してなんですけれども、期初ご説明のとおり、だいぶここ半年で人員が減ってきたなという印象あるんですけれども、上期の人件費は特に減っていないということで、リストラコスト等が入っているんだとは思うんですけれども、これ下期に向けてはきちんと人件費削減効果というものがこの人件費という項目で表れてくるんでしょうか。
高原 宏 - コーポレートオフィサー 経理部長
まず、先ほど申し上げましたように、リストラっていうところは、これTPNA社でこの上期やってます。そのリストラによる当然早期退職的な費用っていうのは出てるわけですけども、これを吸収してTPNA社は30ミリオン現地通貨ベースで管理販売費が減ったということであります。
下期のほうは、額としてちょっといま正確なところ申し上げられませんけども、リストラ費用の大部分はもう上期に出ておりますんで、ほかの経費が同じであれば、より大きな効果が出てくるだろうと考えてます。
従来から申し上げておりますのは、今年度は堅めに見てだいたいリストラによる人件費マイナス影響というのはほぼとんとんと。具体的な成果は、効果は11年以降で年間250というふうに申し上げております。大筋でこの辺とあまり変わらないと思います。
小野塚 昌之 - アナリスト
わかりました。もう1点がちょっと開発のところで、ファクターⅩaの「TAK-442」に関しては、思ったような効果が見られなかったということなんですけれども、今後のその開発方針としては、単品として開発の方向性を考えるのか、バックアップ、かなりアーリーだと思うんですけど、「236」とかいくつかあったと思うんですけど、そういうものも含めてカテゴリーとして見直さなきゃいけないのかなという、どちらの考え方でしょうか。
大川 滋紀 - 取締役 研究開発統括職
先ほど申し上げましたように、最終的な結論はもう少し今の膨大なデータを解析した上で、例えばハイリスクの患者さんに対してどうかとか、こういうことは順次やっていきたいと思っておりますけれども、現状の試験のそのデータから解釈いたしますと、標準治療法ですね。特にACSに関する標準治療法という形では、やっぱりアスピリンとクロピドグレル、この併用というのが以前よりも非常に薬効的に満足のいくものになってきていると。
CVのイベントも、これだけでかなり4%程度まで下がってきておりますので、これに新たな1剤、優れた薬剤であっても併用することによって、さらにアドバンテージを出すということが非常に難しくなってきてるというふうに考えております。
ですから、開発方針は先ほど申し上げましたように、最終的に結論は出しますけれども、現状ACSでの開発というのは極めて厳しい。製品といいますか、化合物としては他社の化合物と比べて劣っているということではないと考えておりますけれども、いま申し上げましたように、標準治療法自体のやっぱり変化ということが非常に大きくなっておりますので。
あと、この領域どうしていくかということは、先ほど申し上げましたような形で、その時期が来ましたらご報告をさせていただきたいというふうに思っております。
小野塚 昌之 - アナリスト
わかりました。はい、ありがとうございます。
司会
ご質問ありがとうございました。それじゃあ、右側の方。
山本 義彦 - アナリスト
日興コーディアルの山本ですが、1つだけお聞きしたいんですけども、抗肥満薬の開発についてなんですが、これ本当にメディカルニーズなのかという見方あると思うんですね。FDAがどんどんハードルを高くしているのは、これは決してメディカルニーズと考えていないからではないか。
つまり、こういう薬剤。冒頭に社長はインフルエンザを含めたワクチンの開発が社会的な使命だとおっしゃいましたけれども、製薬企業の社会的使命の中に、本当に抗肥満薬を開発する、大枚の経営資源を投入してこういう薬剤を開発する必要があるのか。これは単に武田のニーズではないか。大きな市場が期待できるから、それだけではないかと思いますけども、それに対しての意見をお聞かせください。
大川 滋紀 - 取締役 研究開発統括職
私ども薬の治療を考える時に、重篤な状況になる、例えば糖尿病でも病態が進行して非常に厳しい状況になってからの治療、もちろんこういう治療法も考えていかないといけないと思いますけれども、それよりもやはりその患者さんにとってベネフィットがあるのは、早期の治療ということがあるかと思います。
それを遡っていくと、やはりその根本原因になってるやはり肥満という問題。もちろん、これ東洋人と西洋人でだいぶ違うんですけれども、肥満をやはり抑えることによって、糖尿病あるいは高血圧の発症を防げるというふうに考えておりますので、やはりこれ肥満を治療する、あるいは食欲を抑制する薬によって、そういう糖尿病とか高血圧の患者さんが減ってくるんであれば、医療経済上のメリットもあるであろうし、患者さんのメリットにもなるということで、肥満領域に力を入れているということです。
山本 義彦 - アナリスト
それが画期的なコンセプトに基づいた新たな薬剤ならまだ話がわかるんですが、今までの延長線上のコンセプトで、失敗を繰り返しているような範疇での開発に本当に意義があるのか。お金をこれだけ投じる必要があるのか。
大川 滋紀 - 取締役 研究開発統括職
先ほどFDAのハードルのお話がございましたけれど、やはりFDAがハードルを上げているのはこの薬がいらないということではなくて、やはり安全性面でのやはり担保をしっかりしなさいというメッセージだというふうに思っておりますので、私どもやはり安全性ということに一番の主眼を置いて、安全性を担保できる、そういう標的に対する薬剤を開発していきたいと。
もちろん安全性だけではもちろん駄目で、やはりある程度の薬効はないといけないとは思いますけれども、まず一番今「QNEXA」、それから「ロルカセリン」ですね。この辺り、やはり安全性面で非常に問題になって、承認どうかという議論になってるかと思うんですけれども、私どもはとにかく安全性ということを主眼に置いて開発を行っていきたいというふうに考えております。
司会
こ質問ありがとうございました。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
一言申し上げますと、確かに肥満というのは通常の疾病とは少し違う概念でとらえるべきかもしれません。肥満が原因となって生活習慣病の多くが発生し、最終的には循環器の病気にまでつながると。ダウンストリームではそうなるというふうな流れになっておりますが、肥満の段階でどれだけの人がそういう生活習慣病になるかということが明確にわからない部分がありますので、そういった観点からいくと、明らかな疾病とは少し違う。そういうことから、FDAはリスクベネフィットのバランスを見る時に、明確なベネフィットと同時にミニマムのリスクがないと、確かに許可を出せないというハードルを上げてきております。
われわれがいま取り組んでおりますのは、従来のコンセプトの中の薬もございますが、パイプラインの中には、この間も発表しましたように、LGライフサイエンスとの共同研究をしておりますような製品につきましては、これは少なくともファーストインクラスだよね。そういう新しいメカニズム・オブ・アクションの薬も取り組んでおります。
最近、先ほど大川のスライドの中でご説明をしましたごく最近導入したもの、あるいは昨年導入したものにつきましても、これは従来の延長線上のものでありますけれど、厳しくなってハードルをクリアできる可能性が高いというわれわれの判断の下にやっております。
特に「Contrave」につきましては、1月がPDUFAデートでありますので、もう数カ月もすればわれわれの判断が正しかったかどうかという結論が出ます。以上です。
司会
ありがとうございました。大阪会場から質問がございますので、ちょっと先にそちらを回したいと思います。大阪会場、お願いします。
石井 - メディア
薬事日報の(石井)です。「SYR-322」の件なんですけども、米国での開発状況とそれから上市の見込みの時期がわかれば、教えていただきたいんですけども。
大川 滋紀 - 取締役 研究開発統括職
今までご存じのように、CVアウトカムスタディのエグザミンスタディを継続しております。エンロールはわれわれが想定している範囲内で順調に進んでおります。このまんま順調に進めば、2011年内に一応申請ができると。2012年の早い時期に承認が取れるというふうに、想定はいたしております。
司会
ご質問ありがとうございました。それじゃあ、東京会場の前から2人目。
酒井 文義 - アナリスト
クレディ・スイスの酒井です。2つお聞きしたいんですが、1つは、これ社長にお聞きすべきことだと思うんですが、最近外部から人材を非常に登用されていて、特にグローバルステアリングコミティ、それから今回のポール・チャップマン氏もそうだと思うんですけれども、これは何かを変えようとしてそういうその人材登用をされているのか、それとも新しいファンクションが加わってきているんで、そのために外部から人を採ってきているのか。ある意味、武田に内部に人材がいないのかということにもなるんですけれども、その辺を何か具体的なお考えもしもご紹介できるようであれば、お聞かせ願いたいんですけれども。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
武田に人材がいないのかといわれると、いないことはないけれど、そういう例えば先ほど酒井さんもおっしゃいました研究本部長でありますとか、冒頭の私の話でご説明しました平手CEOであるコーホレートオフィサーとか、あるいはドクター・フランク・モリッヒのような人については、それぞれのポジションにおいてジョブリクワイアメントをよりベターな形で満たしていただける人材ということで、あえて交代あるいは退任をしてもらった後の後任という形でやってもらってるわけであります。
したがいまして、武田の人材の育成がジョブリクワイアメント満たせる形で追いついてない部分については、結果として外部から招聘をしているということであります。
酒井 文義 - アナリスト
わかりました。あと、「SGN-35」なんですけれども、これ欧州のほうで2011年申請予定というふうになってます。これはフェーズⅡのデータで欧州はいけるという、そういう判断をされてるのかということと、これアメリカでミレニアムがシアトルジェネティクスから導入という形になってると思うんですが、アメリカと日本での販権、これはどういうふうに。権利関係ですね。これはどういうふうになっているのか。
あとASHでの発表ですけれども、これ結構注目されていると思うんですが、あまり今回詳しいご説明がなかったのは、エンバーゴの問題なのかどうか。その辺ちょっと確認含めてお聞きしたいんですが。
企業側発言者不明
岩崎部長から。
岩崎 真人 - コーポレートオフィサー 製品戦略部長
まず権利の関係っていうことですけども、現時点ではヨーロッパでの権利のみであります。
それから結果につきましては、先ほどありましたけども、ASHで発表されるわけですけれども、非常にいいデータが出ておりますから、がんの通常の開発と同時でフェーズのデータが出た時点で、いいデータであればそのまま申請をして承認を急ぐという考え方であります。
酒井 文義 - アナリスト
アメリカもその可能性があるということでよろしいですか。
岩崎 真人 - コーポレートオフィサー 製品戦略部長
と思います。
酒井 文義 - アナリスト
それは向こうの、シアトルの考え方ですか。
岩崎 真人 - コーポレートオフィサー 製品戦略部長
はい、そうです。
酒井 文義 - アナリスト
はい、ありがとうございます。
司会
ご質問ありがとうございました。お約束の時間は過ぎておりますが、大阪からもう一方ご質問が先に入っております。大阪会場、よろしくお願いします。
清 - メディア
朝日新聞の(清)と申します。よろしくお願いします。
ワクチンのことについてちょっと改めておうかがいしたいんですけども、8月末に昔1度やめられたインフルエンザワクチンをもう1度やられるということを発表されて、この間HPVワクチンのライセンスをやられたということで、社会的使命ということもあるんでしょうけれども、ワクチンをビジネスとしてやっぱり新たに再評価されていると思うんですが、その可能性、将来性みたいなのはどの程度あるのか、いつ頃どのようにみたいなイメージがあれば、それも含めて教えていただきたいんですけれども。
企業側発言者不明
岩崎部長から。
岩崎 真人 - コーポレートオフィサー 製品戦略部長
もちろん、社会的意義ということに加えてビジネスのチャンスというのを追っかけてるわけです。ワクチンはご存じのように、プロフィラキスの非常に小児の感染予防というふうな、どちらかといいますとボリュームドリブンになるようなワクチンと、それから現在プレグナー投与で出てきておりますような、非常にイノベーティブなワクチンの2種類に大局できます。
その中で、私どもは現在持っておりますパイプラインのもの、パイプラインというか、パイプラインもありますし、現製品がありますけれども、そういったもので新興国において出ていけるものがあれば、積極的に考えていっております。
並行して、先ほどありましたようないわゆるユニバーサルワクチンのような画期的なワクチンについても、積極的に追求するということで、まず1つご紹介をさせていただいた神田ワクチンの導入というふうなことであります。
長谷川 閑史 - 代表取締役社長
ちょっと追加で申し上げますけれど、ご記憶の向きもあると思いますが、昨年H1NIのインフルエンザがパンデミックとしてWHOで宣言された。その対応として、日本は自国で生産できないからということで緊急輸入をいたしました。
昨年の5月がこれが最後の官民対話になりましたけど、その時に私は製薬協の副会長でありましたが、こういう日本が少なくともアジアでは医療の最先進国でありながら、ワクチンを他国から購入しなければいけないというのは、極めてやっぱり恥ずべきことであるし、ましてや日本が買わなければそのワクチンが途上国にも回ったかもしれないという、そういう見方すらされかねない状況は官民協力して解決をすべきである。
そういう提案をいたしまして、当時の舛添大臣もそれに応えていただきまして、現在いくつか手を挙げた企業がそのセルベース、セルカルチャーベースのパンデミックワクチンの製造の技術開発を進めており、最終的には来年の前半ぐらいまでに政府の決めた諮問委員会というのか、有識者会議というのか、そこが最終的に国内で2社ないし3社ぐらい、どこが一番クオリファイされているかということを確認の上で数百億、それぞれの企業に数百億のワクチンの建設の、プラント建設のための費用を給付するという、そういう今プロセスが進んでおります。
武田もそのセルベース、セルカルチャーベースのワクチンでは最も実績のあります会社の1つでありますバクスター社のテクノロジーを、そのままチェコの会社をコピーして光に建設するという形で、いま鋭意技術移転を進めているところでありまして、最終的に2社ないし3社の1社になることを確信をしながら、いま進めているところであります。
司会
ご質問ありがとうございました。最後の質問になります。どうぞ。
水野 要 - アナリスト
大和証券キャピタル・マーケッツの水野と申します。国内の新薬の立ち上がり方についておうかがいしたいんですけども、「ネシーナ」、半年遅れで、「ジャヌビア」と比べて半年遅れたということが特にハンデになってないというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
あと「ロゼレム」ですけれども、やはり日本の市場はアメリカとは違うというふうにお考えでしょうか。
山中 康彦 - 取締役 医薬営業本部長
はい。「ネシーナ」ですけれども、今ご質問のとおり、おっしゃられるとおり7カ月遅れということで、われわれは今年の6月発売させていただきましたけども、やはりわれわれご承知のとおり、「アクトス」、「ベイスン」、「グルファスト」というような糖尿病のラインナップをすべて有しておりますので、これからそのあらゆる糖尿病患者さんの病態に合った治療を提案していけるという強みがあるというふうに考えてます。
DPP4阻害薬自体が非常に先生方のいま興味が高いので、市場浸透、先行の薬剤も確かにされておるという状況であります。ただ、それは長い目で見ますと、われわれにとってもプラスの要素になるというふうに考えてますし、今「ネシーナ」についてはアルファグルコシダーゼおよびチアゾリジンとの併用は取れましたけども、さらには今もちろんSU、それからビグアナイドとの併用も申請しておりますので、それがラインナップそろって、2週間投与の制限が取れる来年の夏以降は本格的に伸長していけるというふうに考えてます。
それから「ロゼレム」につきましても、まだまだ発売して、7月に発売して3カ月なんですが、市場の評価としては非常に興味を持っていただいております。これはじっくりとこれから取り組んでいこうと思ってますけれども、やはりご承知のとおり、今までのベンゾジアセピン、また非ベンゾジアセピンとは異なり、いわゆる従来の睡眠薬が持つ作用、副作用とかがないということは事実でありますのでね。これは非常にじっくりやっていけば競合品が、基本的に直接的な競合品がございませんので、これからいかにどういうコンセプトで先生方に。
われわれ考えておりますのはやはり睡眠、覚醒と睡眠のリズムを調整していく。いわゆる生活習慣病の遠因になってる不眠の生活改善とともに、ベースにお使いいただけるような位置に持っていくのが最終的なイメージなんですけれども、時間はかかると思いますけれども、確実にこれはアメリカとはちょっと違いますんで、浮いていけるというふうに考えてます。
水野 要 - アナリスト
ありがとうございました。
司会
ご質問ありがとうございました。時間を10分超過いたしましたにもかかわらず、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
これにて本日の説明会を終了させていただきます。お忙しい中、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。